ドワンゴの夏野氏が所得税について「400万以下は事実上払っていないようなもの」とツイートした件が物議を醸してますが、ちょっと極端な言い方はともかくとして気持ちは凄く分かる。
単純な事実として、年収400万円の人が年間に払う所得税は10万円前後。しかし、一方年収2000万の人が払う税金は400万円くらいになります。ぱっと見ただけでも行政から受けるサービス内容の対価として年間10万円は安すぎますし、400万円が高すぎるというのは概ね異論はないかと思います。
つまりお金持ちは、既に割に合わないレベルの税金を払っているということです。
しかし、最近の日本は増税傾向。
社会保障費は毎年微妙に上がり消費税も近いうちに10%になる・・・。そんな増税への批判の目を反らすかのように、たまに報道される富裕層への増税もしくは課税締め付けのニュース。
まぁ、納めるべき税金を払うのは当然として、税収が足りない→富裕層はお金が余っているはず→じゃ、富裕層からガッツリ税金とればいいじゃないかという発想はまったく愚かな政策だと思うわけです。
これ、明らかに一般層への増税の不満そらしですよ。
あいつら金持ちをもっと酷い目に遭わせるから、ちょっとの増税は目をつむってねっていう意味です。
そもそも税金とは何だろうか?
そこでまず、そもそも税金とは何かを考えてみたいと思います。
税金とは、所得移転の為の公的な仕組みです。
もう少し分かりやすくいうと、大なり小なりお金を稼いだ人や会社からお金を集めて、社会全体のためになるように使おうという仕組み。このおかげで貧乏な家の前にも道路が通り水道や電気も使うことが出来ます。
もし税金がなかったらお金持ちは自分で道路や水道が造れるけど、貧乏な人はその投資が出来ない。なのでみんなから税金を集めてそれを公平に社会資本に投資していこうという仕組みですね。
おかげで社会全体が豊かになって、より経済が回りみんながもっと豊かになると。
その所得移転意味がありますか?
現在の日本は十分に豊かな生活が送れる国です。
大なり小なり住む家があり、いつでも清潔な水が使え、電気だって止まることなく供給されています。高度にシステム化された流通で良い物が安く手に入るし街は概ね安全で世界でも有数の暮らしやすい国であることは間違いないと思います。
そんな中、金持ちから所得を移転してこれ以上何をするんですか?っていう話ですよ。
ちょっと単純に考えてみましょう。
貴方の手元に100億円のお金があります。
まったく想像しがたい仮定ですが、仮にこれが自分のお金だとして下記2つのグループのどちらに預けて運用して貰うのが良いでしょうか?
- 数々の事業を成功させた経営者の集団
- 役人と議員の集団
貴方のお金ですから払って終わりではありません。
当然、投資したからには配当というかたちでより大きな利益を得たいわけで、そうなるとほぼ全ての人が「数々の事業を成功させた経営者の集団」を選ぶのではないでしょうか?
これまで数多くの事業を成功させた経営者なら、100億円を有効活用して新しい事業を造り、より多くの雇用を創出して地域を活性化してくれます。当然利益が出れば配当もしてくれるし、その利益を再投資してもっと大きな事業が出来るかもしれません。
一方、役所の役人はどうでしょうか?
第三セクターで実施されている事業がほとんど赤字なことから分かるように、彼らには「商売で儲ける」という発想がありません。で、止めときゃいいのに子育て給付金とかいって個人にお金をばらまいたりします。
1年にたかだか1万円貰った個人が、それで社会が豊かになるような使い方するでしょうか?いや、そりゃお金貰ったら個人的には嬉しいけど、社会のためにはまったくならないのは誰が考えても明らかです。その上、お金を配る為にまた不必要な内部コストを掛けているという始末です。
もし、「あなたのお金」だったらこんな無駄な事に投資しますか?
税金が高いということは役人に全てを託すということ
社会活動で生み出された利益から一定の割合を徴収する税金。
現行の制度ではこれを運用するのは役人です。つまり高い税金を取られるということは、社会で生み出した利益の多くについてその運用を役人に任せるということです。
みんな、そこまで役人を信用してるのでしょうか?
もちろん役所勤めの人だって個々人はいい人でしょうし、知り合えば僕と友人になってくれるかもしれません。しかし、こと税金の運用という面に関していえば、有能な経営者と比べて圧倒的に見劣りすることはいうまでもありません。だって彼らの本業じゃないんだもん。
税率を上げるということは、そんな役人の皆様に大事な資金を託すという選択です。
それなのに金持ちからお金を取り上げて、事業家として優秀とは思えない役人に預けることを推進する政策が合理的といえるでしょうか?
お金持ちがお金を持っていたら・・・
さて、税金の本質を整理したところで富裕層への増税に話を戻しましょう。
現状、富裕層の最高税率は45%です。
累進課税なので各種控除後の45%が税金になるというわけではないですが、それでも結構な割合を「役人に託している」状態です。
自分がお金持ちだったら・・・
という想像は誰でもしたことがあると思いますが、お金があればクソ高い高級品も買うし、贅沢な食事だってする。面白い事業が思いつけば自分で起業するのも良いし、誰かの事業に投資しても良い。とにかくお金を使います。
つまりお金持ちが持っているお金はある一定の割合で社会に貫流され、様々な形で雇用を生み出したりします。
もちろん税金という形でもお金が回りますが、お金を使うのが下手な人が使うのと上手な人が使うのとでは、まったく意味が違います。
一方税金が高かったら・・・
税金が高かったらどうなるかというと・・・
税金の安い国に逃げます(笑)
彼らはそれを出来るだけの資本が十分にあり、また、本物の金持ちならある程度お金を掛けて海外に移住しても、物価な安い国ならそれこそ王様のように暮らせるので快適です。
かくいう僕も海外に住んでいる理由の一つは税金対策だったりします。
僕はまぁお金持ちってわけではないので、節税分で海外で楽しく暮らしてトントンというレベルですが、日本にいて使い道に納得できない税金を払うよりは自分のために使った方が有意義だという判断です。
もちろん、もっとお金持ちならメリットが段違い。
僕が住んでいるところは日本に比べてとても税金が安いので、友人にもヤバイくらいお金持ちの人とかいて、みんな逃げてるな〜と実感します。
そして、ここで重要なことは彼らが海外移住したことによって税収が減るばかりでなく、彼らが消費・投資するお金も全て外国に落ちてしまっているということです。本来なら日本で稼いで日本で消費してくれればいいものが海外で消費されている。
実は税収云々よりもこの問題の方が大きいわけです。
この問題を別の視点からいうと、日本がお金持ちにとって投資する魅力がない国になってしまうという事です。
お金持ちにはもっとお金持ちになって貰おう!
僕が思うに社会はこっちの方向を目指すべきではないでしょうか?
ちょっとお金を稼いだらガッツリ税金をとられて、お金持ち感も満喫できないという社会はまったく夢がありません。それよりはガッツリお金を稼いでパーっと使って成功を満喫できる社会の方が楽しいじゃないですか。
そういう社会じゃなきゃ、リスクをとって起業して、努力に努力を重ねて成功しようと思う人なんて出てきませんよ。しかも、マレにそういう人が現れても高い税金を嫌って海外に出ちゃうのでは何のための社会なのか分かりません。
ちなみにですね。
2015年から富裕層の最高税率が40%から45%にあがったそうです。
これにより生み出された税収はたったの600億円。
公務員の平均年収が660万円くらいで実際に人を雇用するには福利厚生などでその倍くらいのコストが掛かることを考えると、公務員4,550人分くらいの人件費ということになります。日本の公務員はだいたい350万人くらいいるので職員の0.13%を減らすとこの分を捻出可能です。
もっというとあまり役に立ってると思えない市議会議員というポジション。
日本全体で市議会議員は69,000人くらいいるそうです。彼らの平均年収は市町村によるのではっきりしませんが、仮に公務員と同レベルとして人数から逆算すると給料を7%下げるだけで先の600億円を余裕で捻出可能です。
別に公務員を目の敵にする気はないのですが、数字としてみてどちらが有意義かと考えると「う〜ん」ってなりませんか?僕は市議会議員の給料を7%だけ減らして(もしくは人数を7%減らして)、お金持ちがもっとお金持ちになれる社会を目指した方が良いと思うのです。
しかも、その結果、集めたお金が今後国を発展させるためではなく、社会福祉に大きく振り分けられていくとなればなんともね・・・。
まぁ、こういう事書くと優しさがないとか冷たいとか批判されそうですが、税金を使うということは国として投資を行うということです。資金は限られていますから、国として重視する物事に投資しなければ行けません。その投資先がこれからの未来を担う若者ではなく、老人に向けられていると言うことの意味をよく考えるべきではないかと。
消費税も「あげるか」「あげないか」という2択に持ち込まれて上手いことごまかされてますが、実際は支出を減らしてその分を捻出するっていう選択だって有るわけですよね〜。
とか何とか考えると、おそらく税金にはもっとたくさん矛盾していることがあると思ったりして、そこら辺を分かりやすく説明して、解決策を提示してくれる政治家がいれば、みんな支持して世の中が変わるのになと思ってみたりする今日この頃です。
いや、なんか難しく書きましたが、何が言いたいのかというと、日本の税金高過ぎだよ!ということでした(笑)